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隠された十字架 法隆寺論 梅原猛 新潮文庫

 しばらく編み物に凝ったり他のことをやったりで、読書が進みませんでした。
それにくわえて、今回の作品は難しく、読み進めることがなかなかできず。
で、やっと読んだわけです。

この作品が最初に発表されたのは昭和46年。
それから著者の主張するこの論がどうなったのかわかりませんが、
ただ、著者のこの時代や聖徳太子への深い愛情を感じたのでした。

抜粋
一つの寺は、ある意味をもってそこに存在している。その意味を与えたのは、それを造った人間の意志である。一つの意志によって、一つの寺は統一され、そしてその寺のすべての建築、彫刻、工芸は、その意志の中で、それぞれある種の役割をはたしているのである。一つの寺を研究するには、その寺のもつ意味を知らねばならない。その意味を知るには、その寺を造った人間の意志を明らかにしなければならぬ。その意志は、必ずしも宗教的意志ではない。そこには、宗教的意志と同時に政治的意志が働いている。宗教的意志でもあり、政治的意志でもある。一つの形而上学的根本意志が、必ず一つの寺院や、神社や、宮殿には存在している。そういう、いわばすべての芸術を総合する意志によって、一つの時代の計術は出来上がる。そして建築も、彫刻も、絵画も、工芸も、すべてこの意志によって統一されているのである。そしてその意志によってそれらは一つの世界を形成する。

私は常々思う、人は成功を収めたその同じ原因で失敗するのではないかと。武力でもって高位についた人間が、己のもてる武力におごって滅び、投機的な商法で財をなした商人が、その大胆すぎる投機によって失敗するように、同じ能力が、あるときには成功の原因にもなり、あるときには失敗の原因にもなるのである。とすれば、その失敗において、その成功の秘密があらわれることがあるのである。
モリヤ * あ行 * 09:25 * comments(0) * trackbacks(1)

1984年 ジョージ・オーウェル ハヤカワ文庫

 最近はいつも読書にあてていた時間の半分を編み物にあてているので、読み終える頻度も少ないのでした。

村上春樹の1Q84を読んでから、こちらも読みたいと思っていたのね。
ただずいぶん昔の作品なので持っていなかったわけです。
そうしたら、なんと友人が持っていてお借りしたのです。

タイトルだけで読みたいと思い、なにも知らなかったのですが、
こういう小説だったのね・・・・

おそろしい統制下で、反逆とみなされれば命を失う状況で
自分が思っていること、自分が信じていることを声に出すということは
どんなに勇気がいることだろう。

周囲に怯えながら
それでもまちがっていると
仲間を求める主人公の気持ちがすばらしいのです。

この作品はその当時の世界情勢をカリカチュアライズしているものと思いますが、
現代でもあてはまる部分はたくさんあるなあ。

モリヤ * あ行 * 10:05 * comments(0) * trackbacks(1)

日輪の遺産 浅田次郎 講談社文庫

今回の舞台は日本です。 終戦直前、陸軍がマッカーサーから奪った時価200兆円の財宝を、ポツダム宣言を受諾する派が日本再興のために隠します。その背景には戦争を続行しようという勢力もあり、とっても緊張感のある物語です。 終戦直前に財宝を隠す任務をうけた3人の軍人とそれを手伝った少女たちのお話と、現在、その軍人の死に際に立ち会ってしまった男たちの話が並行して語られます。 時代が現在に近いと生々しいなあ。 どうも私は軍人にしろ、戦国の武将にしろ、 己の生活を捨て、大志に身を投じる人々の話が好きみたいです。
JUGEMテーマ:読書
モリヤ * あ行 * 08:46 * comments(0) * trackbacks(0)

蒼穹の昴(上)(下) 浅田次郎 講談社

 十数年ぶりに読み返しました。
あああ、やっぱりいいなあ。

これもまた清王朝の末期のお話です。
以前に読んだ「中原の虹」の末期のほうのお話のちょっと前の時代です。
この時代も3冊目になると、登場人物もおなじみ感があり読みやすく、
「中原の虹」ではあまり描かれなかった人物が活躍したりで
楽しいです。

「蒼穹の昴」では、宦官の李春雲がいいなあ・・・・
「中原の虹」では、彼のお兄さんが張作霖の手下となって活躍しますが。
そして妹は、梁文秀のもとで保護され
3人の兄弟妹は、それぞれが敵対する立場になってしまう。

このお話で活躍する沢山の人たちは、
一人一人がみんな、列強から清王朝を守ろうとして、
また4億の国民を守ろうとしているのね。
聡明に、熱烈に、狡猾に、それぞれやりかたは違うけれど。

歴史に名前を残した人たちが大勢でてきます。
大きな流れはきっと事実なのだろうけれど
その中の細かなところが、小説として楽しめるのです。
各国から赴任している新聞社の特派員も(この人たちは実在ではないかもしれませんが)、
この五千年の歴史をもつ国を愛しているの(「中原の虹」で、アメリカから来た特派員の行動には泣きました)。


時代が大きく変わるときは
その裏にたくさんの人たちの、とてつもなく大きな思いがあるのだなあ。
自分を捨てて、大きなこころざしのために生きるという時代があったのだなあ。

浅田次郎の3冊の清王朝物のなかでは、「蒼穹の昴」が一番好きだな。
「中原の虹」よりも、「珍妃の井戸」よりも。
最後は涙なしには読めません。





モリヤ * あ行 * 10:42 * comments(0) * trackbacks(0)

珍妃の井戸 浅田次郎 講談社文庫

やはり読み返したくて買いました。
家にいながら、ポチッとおせばいいだけですから、すぐに買ってしまう・・・
便利だけど、お財布が危ないなあ。

これは「中原の虹」と同じ清王朝の時代。中原の虹では2つの時代が描かれていましたが、「珍后の井戸」はその中の清王朝末期、光緒帝の時代のお話です。
珍后は、光緒帝の愛妾。義和団事件のさなか、だれかに井戸になげこまれ殺されてしまいます。
「誰が珍妃を殺したか」
その謎をとくために、列強の中の4国(日本、ロシア、イギリス、ドイツ)の貴族達が過去の事件にかかわった人達に話をきいていきます。

「中原の虹」の登場人物と同じなので、かなりおなじみ感がありました。
しかし、同じ時代でも切り口が違うので、また 楽しめました。

メモ
人間は獣の一種だから、元来はみな臆病。自分の命を守ることしか考えない。ところが長い歴史の間に、すぐれた人間はその本能を凌駕する精神を身につけた。それが「侠気」という鎧ですね。そういう人間が現われなければ歴史は作られないから。


モリヤ * あ行 * 14:52 * comments(0) * trackbacks(0)

中原の虹(1)〜(4) 浅田次郎 講談社

 この本は書店にならんだ時からずっと読みたかったんです。
でも4巻もあり、単行本・・・・高いぞ・・・と我慢していました。
古本で買いました。

浅田次郎は、「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」を読み、なんて面白いんだ!と感動していました。「プリズンホテル」なんかも面白かったけれど、中国歴史物が私の好み。
「中原の虹」は清の時代のお話です。
時代は2つ。
1つは清を興そうと女真族(満州族)の太祖ヌルハチが中国東北部をおさえ、3代目の順治帝で長城を越え、漢民族の明を倒し清王朝をつくる時代。
もう1つは清王朝末期、11代光緒帝のあたり。東北部では張作霖が猛威を奮っている時代。

激動の時代の物語は、わくわくします。
中国語がたくさん出てくるもの面白かった。
それから女真族の神話も面白かった。神話で天地を作る話は、どこの国も似通っているのかな、と思いました。

もちろんこれは小説で、たくさんの参考文献を読み、大きな史実を軸にして、創作したものでしょうが、張作霖や西太后がとっても魅力的に描かれていました。
西太后って、悪名たかき后、というのが私の持っている知識でしたが、
ここではまったく違うのですね。

人間にはそれぞれ器があって、その大小も様々。
この物語に出て来るたくさんの人々の器の大きさの違いを感じました。
人が、器の大きさ以上のものを望み、それを実現させようとすると、まわりを苦しめるのでした。

なんだか、昔見た映画「西太后」や「ラストエンペラー」をもう一度観たくなりました。
それと「蒼穹の昴」と「珍妃の井戸」ももう一度読みたくなりました。
なんか忘れているのよね〜〜、この2冊を読んだのは、娘も生まれる前の十数年前。
すごく面白かった、徹夜本だった、という記憶があるだけ。

メモ
「やい、腐れ卵の糞野郎ども。進士様だか挙人様だか知らねえが、おめえらの口から没法子(メイファーヅ)なんて文句は聞きたくもねえ。そいつは種籾までおめえらに分捕られる百姓の台詞だ。(後略)」

「ちがうんだ、慰庭(袁世凱のこと)。奴や出世などもくろんではいない。もともとがそういう主義の人間ではないのだ。(張作霖のこと)。君の尺度で人を測ってはいけないよ」(徐世昌の言葉)

嫉妬。神は持たず、人間誰しもの抱く感情。古今東西を問わず、施政者たるものがみな神の国をめざしながら、けっしてそれを実現することができないのは、ひとえにその人間的感情を捨てられぬせいであろう。捨てられぬばかりか多くの場合、嫉妬はあらゆる行為の動力となる。

女真族に伝わる神話
そもそもこの世界には天地の隔たりがなかった。その混沌の中に盤古という巨人が生まれた。盤古は生まれるやいなや、身丈が日に一丈も伸び、たちまち天を押し上げ地を踏み下げて、天地の隔たりを作り始めた。一万八千年ののちに宇宙は今の形に定まり、盤古は長き務めをおえて死んだ。その亡骸は万物に化生して余すところがなかった。



モリヤ * あ行 * 09:01 * comments(0) * trackbacks(0)

日本人の知らない日本語 蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー

 夫が買ってきた本です。
コミックエッセイです。
すぐ読めます(30分くらい)。
とっても面白いです。

著者は日本語学校の講師。日本語を勉強する外国人生徒たちとの様子が、マンガになっているのね。
私は日本で生まれて日本で暮らしているのだけれど、
なんとなくニュアンスで使い分けていたり
わからなかったこともたくさん載っていたの。
助数詞の章では、知らないことばかりでした。
枕って、なんて数えます? 私は1つ、2つって言ってたよ・・・・
1基、2基なのだなんて、初耳でした。

外国人生徒たちの、かわいらしいあちゃちゃも笑えます。
(抜粋)
「天使って知ってますか?」
「はい、背中に手羽がある人です」
って。

あー、そーだそーだと思ったのは、
敬語の章。
コンビニやファミレスに行くと、よく違和感がある敬語の使い方を聞くでしょ。
(抜粋)
「ご注文の方、以上でよろしかったでしょうか」
「こちらパスタになります」
「お飲み物は紅茶で大丈夫ですか」
「お会計、千円からお預りします」

私も気をつけなくっちゃ。
モリヤ * あ行 * 09:18 * comments(0) * trackbacks(44)

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午 文藝春秋

 何年か前に新聞の書評に出ていた作品です。
その内容は忘れてしまいましたが、それを読んで、読んでみたいなと思い、タイトルと作家名を手帖に書き写していたのです。
それから数年たちました。
私は不勉強で知らなかったのですが、この作家はもうデビューしてから20年ほどもたつ方なのですね。

この前に読んで村上春樹さんとは、あまりにも文体が違うので、最初はなかなか入っていけませんでしたが、この作品も400ページ以上もある長編で、いつのまにか作品の世界につかっていました。
ラスト近辺で、ある種明かしがされるのですが、驚きました。すっかり騙されました。というか、かってに私が想定していただけだったのですが。
もちろん作者の意図であろうと思います。人の思い込みというのはすごいものです。

そこがわかると、タイトルの意味がよくわかります。

モリヤ * あ行 * 11:14 * comments(0) * trackbacks(0)

ホテル・アイリス 小川洋子 幻冬舎文庫

小川洋子はこれで何冊目になるのでしょう。
12、3冊ですかねえ。
その前に「博士の愛した方式」とずっと前に「妊娠カレンダー」を読んでいるのですが、
今回の作品のような、官能的な描写が出てくるのは初めてで、驚いてしまいました。
小川洋子って、こういうのも書くんだ・・・・

すごくよかった。
他の作品とは少しムードが違っていて、
出てくる人達も、違うのよね。
いつものような、遠慮がちなひっそりとした人々ではなく、
お金にうるさい母親や、盗癖のある使用人や
サディスティックな老人、そしてマゾヒスティックな私。
でも、やはりどろどろしていないところは、
小川洋子らしいのかなあ・・・・

3月から読み続けていた小川洋子ですが、
まとめ買いした本もこれで読み切ってしまった。
また買うと思いますが、
とりあえず、いったん小川洋子はこれでお休み。

抜粋
少しでもはやく一人になりたかった。フロントに閉じこもり、今日起こったことを心の中でよみがえらせたかった。そうしないと、自分の見た風景が全部幻になってしまいそうな気がした。

私の仕える肉体は醜ければ醜いほどいい。乱暴に操られるただの肉の塊となった時、ようやくその奥から純粋な快感がしみ出してくる。


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モリヤ * あ行 * 08:51 * comments(0) * trackbacks(0)

凍りついた香り 小川洋子 幻冬舎文庫

面白かったです。長編ですがめずらしく一気読みしました。
突然自殺した恋人の、自殺の理由を知りたい主人公が、
恋人の過去を辿っていく。
そこにはまったく「私」の知らない「彼」がいるのです。
たくさんの美しいキーワードをたどりながら、「私」はプラハへ導かれるのです。

以前のエッセイで、作品の取材のためにプラハに行ったという話が書かれていましたが、この小説だったのだな、と思い出しながら。

抜粋
「予言者なんかじゃないさ。だって未来は予測できないからね。香りはいつだって、過去の中だけにあるものなんだ」

今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた。

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モリヤ * あ行 * 08:44 * comments(0) * trackbacks(0)
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