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その夏、乳房を切る 篠原敦子 星雲社

著者は私の20数年来の友人である。
まだ二人ともうんと若かった頃、札幌で知り合った。
その当時、私たちは別々ではあったがともに同人誌に属し、小説を書いていた。
彼女はいちはやく頭角を現し、「北海道新鋭小説集」に入選をはたしていた。
私は彼女の作品を読んで、つよく惹かれ、連絡をとり知り合ったのだった。
私が同じ「新鋭小説集」に入選したのはそれから2年あとだったが、
その頃彼女はもう東京に移転していた。

長い年月の間、私も横浜に移転、彼女がまだ東京に住んでいた頃は、何度か会い、酒をのんだが、その後群馬に戻ってからは、ときどきの電話とメールの付き合いが続いている。

彼女が乳がんにおかされたことを知らされたのは、去年だった。
いつものさばさばとした口調は、まるで他人事を話すようで、湿った感傷などとっくに乗り越えた強さを感じた。
私はただただ驚き、彼女をおそったたいへんなことがらに耳をかたむけた。

この作品はノンフィクションである。
すさまじい闘病と、彼女が乗り越えてきたさまざまなことがらが、彼女特有の鋭利な文章で綴られている。
第6回開高健賞の最終選考まで残り、今回出版されたのだった。
彼女の文章を読むのはひさしぶりだった。
するどい洞察力と、えぐるような文章で
身にふりかかるさまざな悪意と闘いながら、老いた両親のこと、そしてあたたかな友人たちのことが綴られていた。

抜粋
「私は噴き出しそうだった。誰もが自分の生きられなかった半月の暗面に、憧れを持って寄り添うのだ。」

生きられなかったもう1つの面を想像することを捨てて、自分の現実に向き合った彼女のことばかな、と思う。



JUGEMテーマ:読書


モリヤ * さ行 * 09:53 * comments(0) * trackbacks(0)

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