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西郷札 松本清張 光文社文庫

 この短編集のタイトルにもなっている「西郷札」という短編が読みたかったのです。
これは作者がまだ朝日新聞西部本社にいたころに懸賞小説に応募し入選した作品です。その後直木賞候補にもなったそうで、松本清張のデビュー作です。

「西郷札」ってなんだろう、と思っていました。
時代は幕末から維新の頃。

抜粋
「さいごうさつ」 西南戦争に際し薩軍の発行した紙幣。明治10、西郷隆盛挙兵、集るもの4万。(中略)同年4月熊本に敗れ日向に転戦するに及び鹿児島との連絡が絶えたため、遂に六月に至って不換紙幣を発行した。(中略)発行総額は10万円を下らなかったという。額面の大なるものは最初より信用が乏しく小額のもののみ西郷の威望により漸く維持したが薩軍が延岡に敗れて鹿児島に退却するや信用は全く地に墜ち、ために同地方の所持者は多大の損害を蒙った。乱後この損害填補を政府に申請したが賊軍発行の紙幣の故を以て用いられなかった。

とあります。

抜粋
 これで疑問は解決した。これは薩軍の軍票のことである。おそらくこの出品者の父祖もこの不換紙幣をかかえて「多大の損害を蒙った」一人なのであろう。その子か孫かが家に残っていたものを出そうというのである。西郷ふだと読んだ連中は笑いだした。

私も「さいごうふだ」と読んでいたので、一緒に笑いました・・・・

お話はそのような歴史をもつ「西郷札」をめぐって、まったく歴史に関係のない嫉妬から、一人の男が陥れられるというものです。
男は罠にかけられ、自身ばかりでなく恩人2人を巻き込んでしまうのですが、その苦悩がひりひりと伝わってくるのでした。

この短編集は時代が江戸のものが多かったです。
「西郷札」
「くるま宿」
「或る『小倉日記』伝」
「火の記憶」
「戦国権謀」
「白梅の香」
「情死傍観」
が収められています。

「或る『小倉日記』伝」と「火の記憶」は、この本の前に読んだ新潮文庫の短編集にも収められていました。出版社を変えてよむとこういうことがあるから、短編集なんかは同じ出版社のもので読みたいのだけれど、たまたま新本も古本も新潮文庫から出ている「西郷札」の短編集が品切れだったのでした。

ただこの短編集には作者のあとがきがあり
「小説修業をしたことのない私は、どのような小説を志すべきか見当がつかなかった。ただ、他人の行く道は踏みたくなかった。」
などとあり、大作家松本清張のデビュ−のころの言葉が読めてよかったと思います。

また解説は島田荘司で、
この方の解説を読んでいると、あと1冊読んだら一度松本清張はおえて、違う作家にいこうを思っていたのに、あら、これも面白そう、これも読んでみたいという気持ちになってしまいます。またご自分の著書「秋好事件」もひきあいに出していて、あ・・・これ、夫の本棚にあったなあ・・・読んでみようかな・・・と、また読書の泥沼にはまっていきそうな私です。(うれしい)


モリヤ * ま行 * 08:10 * comments(0) * trackbacks(1)

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From - @ 2009/12/09 5:41 PM
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